モデル末期でも星5つの理由

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机の上に「ドン」と鎮座するマグネシウム合金のボディ。息子をスマホでパシャパシャ撮る嫁は触ろうともしない。

だがそれでいい。

バッテリー込みで980g。これをどう感じるかは人による。私にはとっては頼もしい重さだ。ミラーレスカメラと比べても安定感は別次元だ。

最大の特徴でもある3635万画素を吐き出す相棒は、時を選ばす最高の写真を提供してくれる。私は期待を込めてシャッターを切り続ける。お互い機嫌がいいのは何よりだ。

例えるならシルクのような、柔らかいシャッターフィーリング。解像度はキレキレではあるが、タッチはとても優しい。ブレ軽減への配慮ということだが、なるほどと思う。

被写体が子供中心の私の場合、基本は絞り優先、ISOオートでSSの下限設定は1/250。AF-CのシングルポイントAF。AFポイントを移動しながらの撮影で、ヒット率は約9割。下限は1/250なので手ぶれはまずしない。一応自分なりに試行錯誤を重ねた結果の設定だ。感度も6400までは許容している。ノイジーといえばそうかもしれないが、私はあえて「フィルムライクなノイズ」だと言い聞かせつつ割り切ることにした。昼間なら低感度、高速SSで評判通りの安定した高画質。日が落ちた時間帯と室内は高感度(だいたいISO2000前後が多い)なので少々ノイジー、同列に評価するのは酷かもしれない。

撮影し始めて一番驚いたのは、動体撮影時のAF精度。高画素機特有の「風景写真専門」という先入観から期待値が下がっていたのもあるが、2歳になる息子をバシッと捉えてくれる点はとても頼もしい。どれだけ高画素技術が進歩してもピントを外してしまっては元も子もないから、いわば同然の性能といえばそれまでだろうが、さすがハイエンドモデルといったところか。

そして意外なのは「AI AF Nikkor 35mm f/2D」にとてもいい仕事をさせていること。20年前のレンズでも高い合焦精度を引き出す本カメラのパワフルなAF性能は特筆したい。3万前後という価格と抜群の携帯性を加味した場合、優良な選択といえる。決して高速ではないが、チョロチョロ動き回る息子を追っかけるには十分なAF速度なため休日はほぼこれでまかなえている。子供連れで荷物がかさばりがちな方には、組み合わせとして一応提案だけはさせてもらいたい。

このクラスのカメラを使うのだから、もちろんストラップにもこだわった。私は速写性を求めて純正ではなくPeak Design製のストラップを選択した。ストラップ部がラバーなどの滑り止めがない低摩擦のナイロン製で、三脚穴へ金具でしっかり固定してちょうどお尻の辺りに逆さでぶら下がる格好。普段は背後に隠して、ここぞという時のみスルリと構えることができる。このひっかかりのないデザインは非常に有効だ。

息子が2歳を迎えた時、もっと真剣に写真を撮ろうと決意した。もう二度と見ることのできない姿をきちんとした形で残しておこうと。綺麗に、だけではなく、この時期特有の肌荒れとか、泥で汚れた手足とか。かつては重いから、めんどくさいからという理由でスマホやミラーレスカメラで撮影してきた私だが、安易な気持ちで写真を撮っていたことに対する後悔の念はぬぐえない。子供が誕生した時、D810は既に発売されており当然購入できたはずだったのだが、私の場合ちょっと買うのが遅すぎた。

2017年2月。まさにモデル末期と噂され、数週間後には新型の発表が予想される。しかし、もしどうしても残したい一瞬が「今」なのであれば、後継機を待たずに購入を検討するのも悪くはないと考える。値段も落ち、その分レンズに投資できることはとても有意義かと思える。ハイエンドモデルは買って後悔するタイプのカメラではないし、ボディの堅牢性も考慮して最低でも2~3年は戦える印象だ。

購入してまだ日は浅いが、ボディには既に無数の傷ついてしまった。この傷は、愛してやまない我が子の成長を記録する為に、構わずにどんどん持ち出してガンガン使い倒したいと思える、何よりの証しなのである。